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IPX防水規格の見方|IPX4とIPX6は何が違う?

2026年4月22日

IPX防水規格の見方|IPX4とIPX6は何が違う?

「生活防水」と「強噴流対応」はまったく別物です。

ヘッドライトやランタンを選ぶとき、スペック欄に並ぶ「IPX4」「IPX6」という文字が何を意味するのか——数字ひとつで、使える場面が大きく変わります。

IPX防水規格とは?「IP」と「X」と数字の意味をひとつずつ読み解く

IPX防水規格とは、国際電気標準会議(IEC)が定めた規格「IEC 60529」に基づき、機器がどの程度の水や固体異物への侵入に耐えられるかを示す等級のことです。

「IP」はIngress Protection(異物侵入保護)の頭字語で、その後に続く2桁の数字がそれぞれ異なる耐性を表します。第1数字は「固体への耐性(粉塵・異物など)」、第2数字は「水への耐性」を示します。

アウトドアギアのスペック表でよく見かける「IPX4」や「IPX6」の「X」は、第1数字(固体異物への耐性)を省略または未評価であることを意味します。水への耐性のみを評価・表記している場合にこの形式が使われます。

第2数字(水への耐性)が表す7段階の試験内容

IPコードの第2数字(水への耐性)は0〜8の段階で定義されています。以下の表に、各等級の試験条件と想定シーンをまとめました。

等級 試験条件 日常語イメージ 想定シーン
IPX0 保護なし 防水性能なし 屋内専用
IPX1 真上からの水滴に10分耐える 雨粒(真上のみ) わずかな水滴
IPX2 15°以内の傾斜からの水滴に耐える 斜めの雨粒 小雨(方向限定)
IPX3 60°以内の散水に耐える 霧雨・弱い飛沫 小雨・霧雨
IPX4 あらゆる方向からの水しぶきに10分耐える 全方向の水しぶき 雨天・汗・飛沫
IPX5 あらゆる方向からの噴流水(低圧)に耐える 水流(低圧) 水道水での洗浄
IPX6 あらゆる方向からの強い噴流水に耐える 強い水流・激しい雨 現場作業・豪雨
IPX7 水深1mに30分水没しても耐える 水没(短時間) 川・水中への落下
IPX8 水深1m超・長時間の水没に耐える(メーカー規定) 長時間水没 水中機器・潜水

この表を見るとわかるとおり、数字がひとつ上がるだけで試験条件は大幅に厳しくなります。「防水」という一言ではまったく実態が伝わらない理由が、ここにあります。

IPX4とIPX6の違いを具体的に比較する|「生活防水」と「強噴流対応」の境界線

購入前に最も混乱しやすいのが、IPX4とIPX6の違いです。どちらも「防水対応」と表現されることがありますが、その実態はまったく異なります。

比較項目 IPX4 IPX6
試験内容 全方向の水しぶき・10分 全方向の強い噴流水に耐える
よく使われる呼び方 生活防水 強噴流対応防水
小雨・汗・飛沫 ✅ 対応 ✅ 対応
豪雨・激しい雨 ❌ 非対応 ✅ 対応
強い噴流水・高圧洗浄 ❌ 非対応 ✅ 対応
水没・急流 ❌ 非対応 ❌ 非対応
IPX4とIPX6の性能比較

IPX4|あらゆる方向からの水しぶきに耐える「生活防水」

IPX4は、あらゆる方向からの水しぶき(飛沫)に対して10分間耐える性能を持つ等級です。試験では専用のノズルを使い、全方向から水を吹き付けた状態でも機器が正常に動作することを確認します。

IPX4が対応できるシーンは以下のとおりです。

  • 小雨・霧雨の中での使用
  • 運動中の汗・手汗
  • テント設営中に雨粒が当たる
  • 水辺での水しぶき(川の近く、釣りなど)
  • 雨天時のランニングや自転車通勤

一方で、IPX4はあくまで「水しぶきへの耐性」であり、水没・浸水には対応していません。川に落とす、水たまりに沈めるといった状況では損傷するリスクがあります。「防水と書いてあったのに水没で壊れた」という声の多くは、このIPX4を"完全防水"と誤解したことが原因です。

IPX6|あらゆる方向からの強い噴流水に耐える「強噴流対応」

IPX6は、あらゆる方向からの強い噴流水に対して耐える性能を持つ等級です。試験では100リットル/分の水量を全方向から3分間噴射した状態でも、機器が正常に動作することを確認します。

IPX6が特に力を発揮するシーンは次のとおりです。

  • 登山・縦走中の豪雨・台風下での長時間使用
  • 建設・工事現場などでの作業
  • 激しい雨の中でのランニングや自転車通勤
  • 水道水での丸洗い・洗浄

ただし、IPX6にも上限があります。水没・浸水には対応していません。川に落とす、水たまりに沈めるといった状況では損傷するリスクがあります。

IPX4とIPX6の決定的な違いは「水しぶきへの耐性か、強い噴流水への耐性か」という点に集約されます。豪雨や現場作業など、激しい水への接触が想定されるなら、IPX6以上を選ぶことを私たちは強くおすすめします。

CercanoがIPX4を採用した理由と、その設計的な考え方

私たちCercanoのライトのほとんどはIPX4(一部IP44)の防水規格を採用しています。そしてプロユースヘッドライトにはIP66相当のIPX6を採用しています。

IPX4はファミリーキャンプ・日常的なアウトドア・防災備蓄を想定したメインユーザーにとって、雨天・汗・飛沫への耐性として十分機能します。

また、IPX6を達成するにはコストが高くなるため、こうしたコスト面でもお客様に手に取っていただきやすくするためにIP4を選択しているといった理由もあります。

一方、プロユースヘッドライトが想定する登山・現場作業・豪雨下での長時間使用には、強い噴流水にも耐えられるIPX6が必要でした。

密閉性と放熱性のバランスを保ちながらIPX6を実現するために、PC+合金の複合素材と筐体構造を最適化しています。

このようにコストをかけてでも用途に合わせてIPX6を採用するケースもあります。

防水規格を正しく選ぶための3つのポイント

まとめとして、防水規格を選ぶときに確認してほしいことを3つお伝えします。

① 「防水」という言葉だけで選ばない
IPX4とIPX7では、対応できる状況がまったく異なります。購入前に必ず「IPX〇」という数字を確認してください。

② 自分が使うシーンを具体的にイメージする
雨の中で使うだけなら IPX4 で十分です。川や水辺でのアクティビティや、誤って水没させるリスクがある場合は IPX7 以上を選びましょう。

③ 防水規格の「上限」を理解する
IPX7でも高圧洗浄や長時間水没には耐えられません。規格が示す「保護できる範囲」を正しく把握し、その範囲内で使うことが大切です。

まとめ|IPX防水規格、これだけ覚えておけば選び間違えない

「IPX」の後の数字がひとつ違うだけで、使える場面はまったく変わります。

  • IPX4:生活防水。雨・汗・飛沫に対応。水没はNG。
  • IPX6:強い噴流水に対応。豪雨・現場作業向け。水没はNG。
  • IPX7:水深1mに30分の水没に対応。水辺のアクティビティ向け。

Cercanoは用途ごとに防水規格を使い分け、「防水性能と使いやすさ」のバランスを設計の軸に据えています。スペック表の数字の意味を理解したうえで、あなたの使い方に合った1台を選んでみてください。